8/20(日)、5時半に目が覚めた。昨日の16時半から今まで殆どベッドで横になって3回分割位で合計10時間位寝た。かなり頭がすっきりして、ベッドの上でぼーっとすることがなくなった。一昨日昨日の歩き過ぎで両脚の筋肉痛や股関節痛が出ていたのだがそれがかなり解消した。これならば何とか無難に走り出せそうな感じ。やはり休息は大事だ。
6時半を過ぎて朝食。疲労感は完全には抜けていないが食欲はしっかりある。しっかり食べてとにかく休む。スタートまではそれだけ。
朝食を終えて休息に入る前にバイクの試走をやっておく。ウェアに着替えて外に出た。
たまたま外にいた一人の参加者が私のバイクを見て「荷物少ないですねー」とちょっと驚いていた。私的にはこれで必要なものを過不足なく積んでいるつもり。
今朝の天気は上々。気温もまだ上がっていないので涼しい。
スタート当日にようやくバイクの試走とフランス発走行。右側走行は久し振りなので慎重に走り始める。取り敢えずSt-Quentin-Yvelines駅まで行って戻ってくる程度の試走の予定。緩々と走り始める。
乗り始めは両脚の疲労感を感じてペダリングもぎこちなくこのままPBPをスタートできるのかとかなり不安になる感じだったが、ちょっと走るうちに自転車の乗り方を身体が思い出したかの様に普通に脚が回せるようになってきた。バイクもおかしなところはなく滑らかに走るので一安心。
駅までの道をうろ覚えで走りに出たのでたかだが1kmちょっとの道程を迷いつつ駅に辿り着いた。
人も車も殆どいなくて気持ち良くサイクリング。フランスに来てやっと自転車で走ることができて安堵しつつちょっと楽しくなってきた。
ホテルの傍まで戻って来た。3km足らず20分程の試走終了。取り敢えずバイクは問題無しで一安心。人間は両脚の疲労感が残っているが走れないことはなさそう。何とかなるところまでようやく持ってこれた感じ。
部屋に戻ってドロップバッグを仕上げる。バイク携行品は必要最低限だがドロップバッグには過剰気味にいろいろなものを詰め込んだから結構膨らんだ。今日のRambouilletから明日のLoudeacまでの天気予報を改めて確認し雨予報なしで気温も最低気温が15℃位まであることを確認して、その予報を信じてレインウェアは携帯せずドロップバッグに入れた。さてこの判断は吉と出るか凶と出るか?
後は9時半のドロップバッグの集荷を待つばかり。と思ったら既にホテルの中庭が賑やかになっているのに気が付いて、もしかしたらもう集荷が来ているのかとバッグを持って階下に降りていく。
外に出てみるとやはり集荷が始まっていた。列に並んでドロップバッグを預け入れる。
このホテルの宿泊者だけでなく近隣からも集まっているので結構賑やか。
タケさんやタチカワさんの姿も。タケさん達は農場に滞在しているらしい。
ドロップバッグの預け入れ完了。預け終わって直ぐに部屋に戻れるのは時間も体力も無駄に消費しないのでやはり正解。あとは出発までひたすら寝るだけ。スタートまであと11時間余り。
右足の指に何やら妙な違和感があるとずっと気になっていたのだが、見てみたら人差し指に水ぶくれができていた。歩き過ぎでこんなことになってしまった様だが、取り敢えず痛くはないのでここで下手に潰して後でトラブルになるのを嫌って取り敢えずそのまま放置する。
12時を過ぎて何となく昼食の時間にはなったが朝食をしっかり食べたので空腹感は殆どない。しかしこの後スタート地点に行っても食事はない(スタート前のミールは2015年に長時間並んだ挙句にフード切れで食べられなかったという痛い経験をして以来申し込んでいない)ので、取り敢えずエネルギーを切らさないつもりで昨日買った残り物を適当に食べて再びベッドに横になる。
時間はそこそこあると思っていたが全然眠れずにどんどん時間だけが過ぎていくと何となく焦りが出て来る。眠れなくとも身体を休めているだけで疲労回復は確実に行われると自分に言い聞かせつつ、瞑想する様に呼吸を整え気持ちを落ち着かせる。
時刻は17時前、スタート4時間前になった。19時までには現地入りしておく必要があるので覚悟を決めて行動開始。ベッドから起き上がりぼちぼち身支度を始める。
受付で支給されたリストバンド装着。これで私はイベントに拘束された。
ウェアに着替えて忘れ物がない様に携行品を入念に確認する。
17時半前にホテルを出立。次に戻ってくるのは4日後か。その時には無事に全てが終わってプレッシャーから解放されていることをイメージしながら、緩々と駅に向かって走り始める。
今度は迷わずに駅に到着。
駅入口の階段の左側の奥にエレベーターがあるのでそこから2階の通路に上がる。
切符はすんなり買えてホームに上がる。予定の電車に余裕で間に合った。
18:13発のRambouillet行きに乗車。
車内は全く混んでいなかった。最終スタート組だとこんなものか。
何となくバイクを眺めていたらリアディレイラーの調整ミスを発見!リアディレーラーのチェーンステーのアウターストッパーにアウターキャップがちゃんと嵌まっていないのを見つけてしまった。この状態でワイヤー調整をしていて取り敢えずシフトチェンジに問題はなかったが、走行中に振動でアウターキャップがアウターストッパーにきちんと嵌まると変速が一気におかしくなってしまう。これが夜間走行中だったりすると修復にかなり難儀するところだった。慌てて工具を取り出し車内で修正しワイヤーを再調整して事無きを得た。スタート前に気づいて良かった良かった。こういう初歩的なミスを犯すとはまだまだ俺も脇が甘い。
18:45にRambouillet駅に到着。取り敢えずここまでは順調。スタート地点に向けて移動開始。
もう直ぐ19時だというのにまだ日は充分に高い。日差しも結構きつくて暑い。
Rambouilletの街中を抜けて行く。目の粗い石畳で落車やパンクをしない様に慎重に進んでいく。
今日は正門から中に入る。門の前の石畳が結構危ないので降車して進む。
敷地内に入って動線に沿って進むと。スタート待ちの組の集団が移動しているのが見えた。周囲には参加者やその家族や関係者多数、賑やかな雰囲気で否が応にも気分が盛り上がって来た。
丁度O組がスタート地点に向かって移動を開始したところ。各組のスタートの時間差は15分。私のU組は21時スタートなのでまだまだ時間がある。
最初のスタート待機地点に辿り着いた。アルファベットが書かれた大きなサインボードがあって、先ずはそこに集まる様だ。Uのボードはまだないのでその近くの草むらに座って待つことにする。
草むらに座って辺りを見回す。そこそこ賑やかではあるがスタート直前のピリピリした雰囲気は全くない。もっと早い時間のスタートだと殺気立っているのかも知れないが、スタートが遅くなるに従って空気が緩んでくるのは世界共通という感じか。
ぼさーっと待っていたらQ組スタートのオグラさんとヤマグチさんとその後R組スタートのタケさんがスタートに向かうところに遭遇。皆さん楽しんで無事に完走してくださいねー。
そのうちU組のサインボードが出てきたので傍まで移動する。人数が少ないが単にまだ集まっていないだけなのか?
日差しがなくなり日陰になって多少気温が下がったもののまだ暑い感じ。前回2019年の時には待っている間にどんどん気温が下がって来て寒くなって来てアームカバーを着けたのを思い出したが今回はそんなことはなさそうだ。
20時前になって唐突にサインボードが移動し始めてU組の隊列が組織されたので慌てて列に並んで流れに乗って進み始める。
進むうちにオダ埼清水班のブルベでもよくお見かけするオカモトさんと遭遇。話しながら進んでいく。オカモトさんは行きの飛行機の中で風邪を貰ったらしく体調が思わしくないとのこと。何とか走りながら回復することを願うのみ。
進むうちに数名のスタッフによる車検ポイントに来た。フロントとリアライトが点灯することだけを確認してすんなりと通過。その後のコントロールポイントで最終のスタートチェックが行われる。
ブルベカードにスタンプが捺されてこれでスタートチェックは完了。後はスタートするのみ。
前方ではノリの良い音楽と大会DJの前のめりなトークが鳴り響いていて時折大歓声で盛り上がる。これも例年通りの雰囲気。いよいよ盛り上がって来た。同じ最終組スタートのうちの会社の同僚のオオダイラさんの姿が見えない。ちゃんとスタート地点に来ているのかちょっと心配したがようやく姿を見つけて一安心。
一つ前のT組がスタートして、いよいよ最終U組がスタート地点へと進む。この後スタートしてしまうと120kmノンストップで走らなければならないのでちょっとトイレが心配になって列を離れてトイレに行く。
ゲートをくぐるとその先には1200kmの道があるのみ。もう逃げ出すことは許されない。ここに来るまでに色々とあったけれど、とにかく無事にスタートラインに立つことができたことをまずは安堵する。4回目のチャレンジは自らの加齢と対峙することに他ならず、果たして衰えを跳ね返すだけの走りができるのかどうしても不安が先行してしまう。一方で、過去3回この道に刻んできた自らの歴史を再び辿る機会を得たことに大きな喜びを感じている。今までさんざんブルベを走って来て、わざわざ自分自身に大きなプレッシャーをかけながら走り続ける理由が未だによくわかっていないが、このPBPで何かを見つけることができるかも知れない。そんな期待も持ちながら、フランスの道を存分に楽しみたい。とにかく無心に精一杯ペダルを踏み続けるのみだ。
オオダイラさんとオカモトさん、完走目指して共に頑張りましょう!
DJの喋りが更にヒートアップしていよいよカウントダウンが始まった。周囲の歓声も大きくなり、参加者達がペダルのクリートを嵌めるパチパチという音がそこら中に鳴り響く。さあ、走り出そう。自分の身体と経験を信じて最善を尽くそう。私の人生に新しい歴史を刻むために。